ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

ゴシックの真実

ハロウィンも終わりましたけど、ちょっとゴシックな感じの背景にしております。
今回は、ゴシックというテーマについてWikipediaを中心に調べてみました。
ゴシックって言うと、ゴシックホラー、ゴシック服、ゴスロリなんて言葉を思い起こす人も多いでしょう。元は、ヨーロッパ中世の美術様式をあらわすものですが、書体の名称やファッション名に使われていますよね。

元々のゴシック(gothic)という言葉の由来は、ゴート族(gothe,gote)ですね。これは世界史に出てきました。西ゴートと東ゴートとありましたよね。
ゲルマン民族のひとつであり、東ゲルマン系に分類されるドイツ平原の古民族です。バルト海南部から黒海沿岸部に移動した後、「ゲルマン民族の大移動」によって東ゴートはドナウ西岸からイタリア半島全域に、西ゴートはフランス南部からイベリア半島全域にかけてそれぞれ王国を建て勢力を誇りました。

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東ゴート王国の拠点となったイタリア半島ラヴェンナにはテオデリック王によって建設されたサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂、テオドリックの娘アマラスンタによって着手されたサン・ヴィターレ聖堂(写真)、サンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂が残っています。これらはビザンティン建築の代表的な遺構ですが、特にサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂は数少ないアリウス派教会堂の遺構としても貴重といわれています。ビザンティンの様式がビザンティン(東ローマ)ではないラヴェンナイタリア半島)で貴重なのは、後に、偶像崇拝禁止令によって東ローマでは聖像破壊運動が起こったからなのですね。
横道にそれましたが、ゴート人の時代にゴシックの様式が作られたのではないのです。



ゴシック(gothic)様式は12~16世紀の間に西ヨーロッパに広まった建築をはじめとする美術様式です。ゴート人とは全然関係ないのです。尖頭アーチが美しいゴシック建築の聖堂はヨーロッパの各地で見られますね。ミラノのドゥオモ(写真)とか、ウィーンのシュテファン聖堂(写真)とか、パリのノートルダムとか。

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これらが作られた当時は、ゴシック様式とは言ってなかったのだそうです。
ゴシックとはルネサンス期の15-16世紀に、イタリアの美術家らが、中世時代の美術を「ドイツ風の」あるいは「ゴート風の」(野蛮(vandalism)の代名詞になったヴァンダル族とともに、壊滅的打撃を与える精強な軍を持っていたので、ルネサンス時代には「ゴシック(ゴート風の)」は野蛮なという意味で用いられていたのでした。)と呼んだことに由来する蔑称だったのです。
ルネサンス期以降、ヨーロッパでは古代ギリシア・ローマの美や文化が理想とされ、暗黒時代とされた中世の文化には低い評価が与えられてきました。

17世紀から18世紀にかけてイギリスにおいてゴシック・リヴァイヴァルと呼ばれるゴシック様式再興運動が始められます。以後ゴシック様式が再考されて再び脚光を浴びるようになり、名前が由来するところの侮蔑的な意味合いはなくなりました。
さらに、18世紀末以降になって中世風(ゴシック風)の建物を舞台にした幻想的な時代小説(ゴシック小説)が出版されるなど、人々の間に中世趣味が広がっていきます。

19世紀になってロココ様式や新古典主義に対する反動から、中世の時代へ関心が向かい、建築を中心にゴシック様式を回顧的に用いるゴシック・リヴァイヴァルが生まれました。イギリスの議会議事堂として使用されているウェストミンスター宮殿はその代表的な建築物です。

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今では、ゴシックは多義に用いられています。

*ゴシック様式は、中世のヨーロッパでキリスト教とともに栄えた美術の様式。
*ゴシック建築は、中世の主に教会堂建築(ゴシック様式の建築)。近・現代においても懐古的な歴史主義建築でゴシック風を採用し設計する場合がある(ゴシック・リヴァイヴァル建築)。
*ヨーロッパでゴシック体 (Gothic Script) と呼ばれるブラックレター(書体の一種)がある。( 日本で「ゴシック体」と呼ばれる書体とは異なる。 )
*ゴシック小説は、中世趣味から始まった怪奇・幻想的な小説。
*ゴシックメタルは、音楽の種類の1つ。ヘヴィメタルをより細かくジャンル分けしたものである。
*ゴシック・ファッションはファッション様式。もとはゴシック小説や映画に登場するキャラクターのような服を着たのが始まり。


へ~~~そうなんですか、
Wikipediaさん、お世話になりました。いろいろ詳しく知ることができました。また、訪れたことのないウェストミンスター宮殿のお写真も参考に頂きました。ほかの写真は、自前です。


では、音楽のゴシック、あ、いえ、ゴシックメタルではありませんよ、
19世紀のボエルマンのオルガン曲です。この時期ですと、ちょうどゴシック・リヴァイヴァルの頃ですね。
19世紀のオルガンといえば、フランスのフランクやサン・サーンスなど有名です。その流れを汲むボエルマンですが、惜しいことに35歳と言う短命です。
彼の代表作に「ゴシック組曲」というのがあります。楽譜はデュランです。タイトルの文字がゴシックですね。

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そのなかから2番目の「メヌエット」、4番目の「トッカータ」をMIDIでお届けします。
元は、昔製作しましたが、今回のために大幅に編集いたしました。
実は、全曲オルガンで弾いたことがあります。
メヌエットは大好きでした。この曲は、主鍵盤+スウェル鍵盤とスウェル鍵盤が交互に出てきます。
昔のオルガンは音量の調節が出来ないので、音栓や鍵盤を変える事で調整してたと思います。
19世紀以降のオルガンは、近代オルガンになっていろんな機能が増えたようですが、ここではゴシックなので古めかしい雰囲気を出しているのだと思います。
4番目のトッカータは足鍵盤がオクターブになるところもあって、難しいです。つまり、両手両足を使っての演奏、と言うことになります。うまく出来ませんでした。。。。
ところで、このトッカータの最初のメロディ、どこかで聴いた気がしませんか?
オルガン仲間では、***の鬼太郎、と呼んでいました。もちろん、鬼太郎のほうがずっと後ですが。

ゴシック組曲メヌエット



ゴシック組曲トッカータ