ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

アラビアの夢

今日は、予定してなかった演奏会へ出かけました。
都合で行けなくなったというので、代わりに行かせて頂きました。
演目が、リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」と「スペイン奇想曲」それに、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」です。演奏は飯森範規さん(オフィシャルサイトはこちら、http://www.iimori-norichika.jp/pc/profile/index.html
指揮の地元千葉のニューフィル千葉です。
飯森さんは、2009年2月22日にミューザ川崎マーラーの演奏会でお目にかかって以来です。

開演15分前から、指揮者によるプレトークがあると言うことでしたが、遅れて逃しました。。。残念

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プログラムは有名どころの曲ですが、こういう曲目って、最近あんまり聞きに行くことがないので、楽しみにしていきました。
スペイン奇想曲」は、あまり聞いたことはないのですが、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットなどが、ソロ演奏をしてテクニックを見せてくれますし、曲全体が、お祭りのように楽しいです。
おそらくオケのメンバーも楽しんでいるのではないかと思いました。軽やかで楽しげでした。
どこか、異国情緒のある感じがしました。

「アランフェス協奏曲」は、ギターソロは福田進一さん、手馴れた弾き方で、曲のイメージはもうとうに出来上がっていて、淡々と自分の音楽を織り綴っていく、そんな感じでした。
大きなホール(千葉文化会館)では、やはり限界なのでしょう、ギターの後ろに小型マイクをつけ、すぐそばに椅子を置いて、そのうえに小型スピーカを乗せていました。
スピーカーの音でも、楽器に近いところから聞こえてくるのなら違和感は少ないですね。
もちろんオケの規模はさっきの半分になりましたが、それでも、オケを相手に協奏するのは大変です。ギターの音も自然によく聞こえ、オケとのバランスもよかったです。
そして、大きな拍手の後は、アンコールに「アルハンブラ宮殿の思い出」。
これも、よかったですねぇ。。。福田さんは、きっとこの曲を何度も弾いてこられたことでしょう。
この曲を愛する気持ちが伝わってくるようで、すばらしかったです。


さて、休憩を挟んで、最後は「シェエラザード
この曲は、このブログにもよく登場する、クラシック好きだった父の好きだった曲のひとつです。
よく大きな音で鳴らして聞いていたので、いやでもメロディは耳に残っていました。
でも、いやじゃないです、標題音楽ですから、それぞれの場面を思い浮かべて聴くと楽しいですね。

それぞれのメロディラインは、誰か(何か)のテーマだったりします。
第1曲「海とシンドバッド」は強い荒々しいサルタン王のテーマで始まります。これは、後で形を変え、何度か現れます。不安な面持ちになります。
続くヴァイオリンの高い音色が遥か彼方の熱い砂漠をイメージさせてくれます。が、これはシェエラザードのテーマ。ハープの伴奏を伴って、これも何度も繰り返されます。
そして、低弦(VC,CB)による、深い海の波のうねりが、押し寄せてきます。が、、ちょっと今回の演奏、ヴァイオリン側で聞いたたからでしょうか、波のうねりがもう少しほしいなと思いました。
第2曲、「カレンダー王子の話」のテーマは、ちょっとほのぼのしたやさしいメロディが第2曲に出てきます。でも、これは、第2曲最後のほうではちょっと尖がって、ピシピシッとしたメロディに変身します。
第3曲は「若い王子と王女」。甘く懐かしいメロディを弦楽が語りかけるように歌います。
第4曲、「バグダッドの祭り、海、青銅の騎士が立つ岩での遭難、終曲」これまでのテーマが順に戻ってきます。加えて、パーカッションの忙しないリズムが、祭りの喧騒を表しクライマックスへと盛り上がっていきます。海のテーマが戻り、激しく荒れた後は静けさが訪れ、シェエラザードのテーマで静かにゆっくりと曲は終わります。

物語を聞いているようですね。
今日の飯森さんの指揮は、このシェエラザードの物語を体で語っているようでした。
大変熱意をこめて、表現されているという印象を受けました。
ただし、オケがその指揮ほど情熱的でなく、冷静であったのが残念?でした。
初めのほうは、オケ全体のバランスもよくないように思えました。
トランペットがtuttiのなかで、大きすぎたり、クラリネットのソロが音量が大きいとか、そんな気がしました。なかでも、ヴァイオリンソロの伴奏のハープの最初の音が大き過ぎる気がしましたが、この繰り返されるテーマ、何度やっても同じなので、こういう表現なのだとそのうち気づきました。
バランスが取れてないのではなくて、自分の中で、イメージしてるものとちょっと違うだけ、なのですね。
でも、やっぱり、このあたりの曲想は、ゲルギエフさんのほうが好きかな。

以前1曲目の最初を製作したので、スコアがあるはずなので、それぞれのテーマをMIDIで載せようと思ったのですが、なんと、スコアが見当たりません。どこへ行ったのでしょう。悲しいです。


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CDは、ゲルギエフ/キーロフ(現マリインスキー)歌劇場管弦楽団 PHILIPS がお勧めかな?

YouTubeを検索してみました。ゲルギエフです。

第1曲 海とシンドバッドの船
http://www.youtube.com/watch?v=kH7Z4FCu8GI




ところで、この演奏会のテーマは~千夜一夜の夢物語~となっています。
もちろん、シェエラザードは別名千夜一夜物語、ですけれど、あとのアルハンブラやアランフェス、スペイン奇想曲はスペインの曲でしょう?
と、思ったときに、最初のスペイン奇想曲の異国情緒が、シェエラザードに似ていることを思い出しました。
ん?そうか。スペインは長らくイスラム支配下にあったのでした。イスラム教徒、アラビア人ですね。7世紀のウマイヤ朝による支配から、レコンキスタ(再征服運動)が完成する(1492年)まで、イベリア半島には多くのイスラム人が住んでいたのでした。彼らはアラビアの文化を持ち込み、美術、建築、イスラム哲学などは、中世ヨーロッパの文化に大いに影響を与えたのでした。

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現に、アルハンブラ宮殿(上写真、Wikipediaより)は後ウマイヤ朝の砦が原型であり、イスラム朝の下で建設されたアラビア風の建造物です。アランフエスの町の名前の由来もアラビア語の「イブン・アランケジュ」(クルミの生える所)という説もあり、スペインはイスラムの文化とは切っても切れない土地柄なのですね。
スペイン奇想曲が、イスラム風やアラビア風に聞こえたとしても当たり前なのかもしれません。

どちらも、アラビアの夢、ということで、千夜一夜の夢物語、なのですね、きっと。