ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

「指環」 ~4~

さぁ「指輪」から「指環」へ、「指輪物語」から、「ニーベルングの指環」へ、やってきました。
ワグナーの超大作「ニーベルングの指環」は、序夜の「ラインの黄金」、第1日「ワルキューレ」、第2日「ジークフリート」、第3日「神々の黄昏」の4部から成ります。
新国立劇場で去年からこの4つの楽劇が毎年2つずつ公演されています。去年「ラインの黄金」と「ワルキューレ」が公演され、先月「ジークフリート」の公演があり、この18日に最後の「神々の黄昏」の演奏が始まって、最後の締めくくりです。いわゆる現代アレンジもので、原作のままではなく、時代やシチュエーションが置き換えてあります。
音楽や台詞はそのままですから、そのあたり、違和感の無いように作られていますね。
 
ラインの黄金」は、序章ですから、ラインの黄金がどのようにして指環となり、神々や人間の争いの種になってしまったか、という背景についての物語、でした。
巨人、小人(ニーベルング族)そして神々がそれぞれの立場で指環を狙う、、
人間界はまだ登場せず、神話の世界の物語です。
 
ワルキューレ」は、主神ヴォータンの娘「ワルキューレ」のブリュンヒルデの物語。これもまた、神話の世界の話ですが、「ラインの黄金」同様、ヴォータンの家族の人間関係、愛とか思惑とか、愛情ゆえの反抗とか、怒りとか、そういったものが垣間見える気がします。彼らはまだ、家族関係を保っているのだけれど、「ワルキューレ」の終わりにはブリュンヒルデはヴォータンにより、その神性を失う。
そして、登場するのが、ヴォータンと人間のヴェルズング族との間にできた子どもたち、そしてさらにその子どもが英雄として生まれてくる予感を残して、ヴェルズング族が神々に代わって力を持つ予言めいた仄めかしで終ります。
ここまでは、まだ神々が威厳を持って支配していました。
そして、ここからは北欧伝説「ヴォルスンガ・サガ」や「エッダ」(どちらも読んだことないです、読みたいです)を元に書かれた「ニーベルンゲンの歌」の前半の内容へと進んでいきます。
ジークフリート」では、力を持ち輝いていた神々は姿を消し、「さすらい人」と称するヴォータンが傍観者のように登場するだけです。                                                                    
森の小人の鍛冶屋の元で、野生児のように育ったジークフリートが冒険に出かけ、次第に成長していくさまを描きます。
 
                                   
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2/11に第2日「ジークフリート」の公演を見てきました。
やたら子どもっぽいジークフリートでしたが、それは、後で上手く対比するためでした。育ての親のミーメとの確執は、親子のようにもみえますが、本当はミーメの「指輪」をジークフリートによって手に入れたいという下心を感じ取ってたのでしょう。
「恐れ」を知るために、大蛇を退治にやってくるジークフリート、そこで、ジークフリートの意気揚々たる気持ちを表すかのような「角笛の動機」ホルン・コールと呼ばれる、この部分はホルン奏者の見せ場です。
                              
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しかし、その後にすぐ表れる「ジークフリートの動機」は、ジークフリートの運命を暗示するようです。
                                   
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その後には低い陰気な「大蛇の動機」が出てきて、大蛇が現れます。
大蛇を倒すくだり、見てみましょう。これは、たぶん、メトロポリタンですね。
Wagner's Ring - Siegfried kills Fafner (Matti Salminen)
大蛇を倒した後、ジークフリートは隠れ蓑と黄金、指環を手に入れます。
大蛇の血をなめることで、小鳥の言葉を聞き取ることができるようになり、まだ見ぬ憧れの女性ブリュンヒルデのところへ導かれていきます。
途中、さすらい人のヴォータン(ジークフリートにとっては祖父)と出会い、彼の槍を折ってしまいます。
このシーンで、残念なことに、ジークフリートに打たれる前から槍が二つに折れてました。。。興ざめでしたが、ヴォータン本人も怒ってたに違いありません。
やがて、炎をこえてジークフリートブリュンヒルデの眠る岩山へやってきて、いろいろとありますが、二人は愛を誓います。
まあね、、神の一人として活躍してきた過去のあるブリュンヒルデと、大蛇を退治したとはいえ、まだまだ子どものようなジークフリートのお二人では、あまりにも違いがありすぎですね。
高らかに愛は歌い上げられますけど、なんか上手くいかないんじゃない?みたいな予感もあります。