子どもの頃から親しんできたお話に「~の歌」というのがあります。
当時、文学全集なるものが家にあって、わけのわからないまま読んでいたのですけれどね。
ファンタジー度が高い順にいうと、「ベオウルフ」「ニーベルンゲン」「ローラン」かな。。。
よく考えたら、フランク王国もゲルマンの一族であり、当時は、ドイツの西側のあたりまでの広い領土だったのです。
でも、書かれてる言葉は、アルプスよりの地方で使われてたとはいえ、フランコプロヴァンサル語。れっきとしたフランス語なので、ラテン系の言葉でゲルマンではありませんが。。。
まあ、ゲルマンや北欧の英雄叙事詩に大変惹かれてきました。
特に好きだったのが、「ニーベルンゲンの歌」ですね。
これは、古くから映画化されてきています。私が見てとても印象に残っているのは「大虐殺」というタイトルで公開された映画です。
タイトルだけ見ると、残忍シーンのあるRなんちゃら映画みたいですが、それはたぶん邦題で、気をひくために大げさにつけられた名前みたいな、、、
確かに、後半の「クリームヒルトの復讐」では、いっぱい殺されますが。。。
それだけ彼女の恨みが強かったのですね。
このお話、前半は、ジークフリートのお話なのです。鍛冶屋に育てられたという説もありますが、このお話の中では、ちゃんと高貴な身分の両親が存在します。武勇を磨くために、旅に出て、竜を退治したりして、名を上げていく。「恐れを知らない勇士」としてその名が知れ渡るようになり、ジークフート自身も美しい乙女クリームヒルト(グートルーデ、など)を求めて、ブルグンドのヴォルムスを訪れる、、そこで、クリームヒルトの兄グンテル(ギュンター、グンナルなど)王と兄弟の誓いを交わす。
このあたりは、ジークフリートがすでにブリュンヒルデと出会っていたのに、グンテルの兄弟(従兄弟の説もあり?)のハーゲン(ハゲネ)に忘れ薬を飲まされ、クリームヒルトに求婚したという筋書きもありますが、ニーベルンゲンの歌では、そうではないですね。
ジークフリートは愚かなことに、グンテルのふりをしてブリュンヒルデの部屋に入った際に、彼女の指環を抜いて持って帰り、さらに、それを妻に与えてしまいます。しかも、ブリュンヒルデの部屋での一部始終を話してしまうのです。
それは、ブリュンヒルデの部屋にいたが、二人の間には剣を置いて、何もしなかった、と妻に潔白を説明したかったからなのでしょう。
が、そのことが、あとになって、大変なことになります。ふとしたことで仲たがいした二人の妃が、口論した際に、クリームヒルトが、「貴方が初夜をともにしたのは実は私の夫なのよ、証拠はこの指環」みたいなことをぽろっといってしまう。立ち直りようがないほど、ブリュンヒルデは名誉とプライドを傷つけられ悲しみにくれる。
そこへよこしまな心のハーゲンが、こうなったらジークフリートを殺してしまおう、とそそのかします。
彼の目的は、ジークフリートが竜を退治したときに得た黄金でした。
そして、森の中で、その暗殺は実行される。後ろから、急所を突かれジークフリートはあえなく息を引き取る。
そこまでが前半です。
ジークフリートの黄金はハーゲンとグンテルにより持ち去られ、ラインの底に隠されたまま、、誰の手にもわたることはありませんでした。
この物語の前半をもとにしたのが、ワグナーの「ニーベルングの指環」ですね。
では、次に行ってみましょう。