ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

ニーベルンゲンの歌  ~3~

子どもの頃から親しんできたお話に「~の歌」というのがあります。
当時、文学全集なるものが家にあって、わけのわからないまま読んでいたのですけれどね。
ニーベルンゲンの歌」「ローランの歌」どちらも、「ベオウルフ」のような英雄叙事詩なのですが、
ファンタジー度が高い順にいうと、「ベオウルフ」「ニーベルンゲン」「ローラン」かな。。。
 
ローランの歌」はフランク王国の話でロンスヴォーの戦いを扱ったものなので、フランス文学としてとらえられていますが、ブレーメンでこのローランの銅像に出会ったのです。びっくりしましたが、
よく考えたら、フランク王国もゲルマンの一族であり、当時は、ドイツの西側のあたりまでの広い領土だったのです。
だから、この叙事詩もゲルマンの英雄叙事詩っていうことにもなりますよね。(無理やり)
でも、書かれてる言葉は、アルプスよりの地方で使われてたとはいえ、フランコプロヴァンサル語。れっきとしたフランス語なので、ラテン系の言葉でゲルマンではありませんが。。。
まあ、ゲルマンや北欧の英雄叙事詩に大変惹かれてきました。
 
特に好きだったのが、「ニーベルンゲンの歌」ですね。
これは、古くから映画化されてきています。私が見てとても印象に残っているのは「大虐殺」というタイトルで公開された映画です。
タイトルだけ見ると、残忍シーンのあるRなんちゃら映画みたいですが、それはたぶん邦題で、気をひくために大げさにつけられた名前みたいな、、、
確かに、後半の「クリームヒルトの復讐」では、いっぱい殺されますが。。。
それだけ彼女の恨みが強かったのですね。 
                                  
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このお話、前半は、ジークフリートのお話なのです。鍛冶屋に育てられたという説もありますが、このお話の中では、ちゃんと高貴な身分の両親が存在します。武勇を磨くために、旅に出て、竜を退治したりして、名を上げていく。「恐れを知らない勇士」としてその名が知れ渡るようになり、ジークフート自身も美しい乙女クリームヒルト(グートルーデ、など)を求めて、ブルグンドのヴォルムスを訪れる、、そこで、クリームヒルトの兄グンテル(ギュンター、グンナルなど)王と兄弟の誓いを交わす。
やがて、独身のグンテル王は、北の国イースランドのブリュンヒルデのうわさを聞き、彼女を妃に迎えると言い出します。姫は炎の壁で囲まれた居城に住み、この壁を越えてきた勇者と結婚するというのです。
グンテルの力では、到底無理なのですが、竜を退治したときに得た隠れ蓑で身を隠したジークフリートに手伝ってもらって、ブリュンヒルデを王妃にします。
このあたりは、ジークフリートがすでにブリュンヒルデと出会っていたのに、グンテルの兄弟(従兄弟の説もあり?)のハーゲン(ハゲネ)に忘れ薬を飲まされ、クリームヒルトに求婚したという筋書きもありますが、ニーベルンゲンの歌では、そうではないですね。
ブリュンヒルデは炎の壁をこえて自分に求婚できるのはジークフリートしかいないと思っていて、ひそかに心を寄せていたので、グンテルの妻になることに抵抗がありました。
ジークフリートは愚かなことに、グンテルのふりをしてブリュンヒルデの部屋に入った際に、彼女の指環を抜いて持って帰り、さらに、それを妻に与えてしまいます。しかも、ブリュンヒルデの部屋での一部始終を話してしまうのです。
それは、ブリュンヒルデの部屋にいたが、二人の間には剣を置いて、何もしなかった、と妻に潔白を説明したかったからなのでしょう。
が、そのことが、あとになって、大変なことになります。ふとしたことで仲たがいした二人の妃が、口論した際に、クリームヒルトが、「貴方が初夜をともにしたのは実は私の夫なのよ、証拠はこの指環」みたいなことをぽろっといってしまう。立ち直りようがないほど、ブリュンヒルデは名誉とプライドを傷つけられ悲しみにくれる。
そこへよこしまな心のハーゲンが、こうなったらジークフリートを殺してしまおう、とそそのかします。
彼の目的は、ジークフリートが竜を退治したときに得た黄金でした。
そして、森の中で、その暗殺は実行される。後ろから、急所を突かれジークフリートはあえなく息を引き取る。
そこまでが前半です。
 
後半は、愛する夫ジークフリートを殺されたクリームヒルトの復讐劇です。
クリームヒルトはフン族のエッツェル王と再婚し、自分の兄弟もすべて一族皆殺しにしてしまいます。
 
ジークフリートの黄金はハーゲンとグンテルにより持ち去られ、ラインの底に隠されたまま、、誰の手にもわたることはありませんでした。
 
 
この物語の前半をもとにしたのが、ワグナーの「ニーベルングの指環」ですね。
では、次に行ってみましょう。