ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

「月光」の想い出

もちろん、この「月光」とはベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2「月光」のことです。
ベートーヴェンの定番のピアノソナタ、といったところでしょうか。
この曲、いろんな逸話があったりしますが信憑性は薄く、この副題の「月光」はベートーヴェンがつけたものではないことはよく言われていますね。
この曲の演奏会については以前、佐藤立樹さんの演奏会を聞きに行ったときに記事にしました。
また、先日頂いたバックハウスの演奏の曲目にも入っていて、この演奏が甚く気に入っています。このYouTubeちょっと音がよくないですが、、1934年のSPレコードの再生版みたいなのもありましたから、それよりはずっとましです。
 
 
 
この曲は子ども時代の思い出があります。
クラシック音楽好きの父の影響で、小学生の頃クラシック音楽を同級生の誰よりも知っていたのだけれど、あるとき音楽の先生が音楽の題名クイズをしたのですが、きれいなピアノのメロディが流れても、一度も聞いたことがない、、、
先生はとっても有名な曲ですよ、と言う。ほかの子も答えられなかったけど、みんな私に期待してる視線を感じた。。。でもわからない。とっても惨めでした。
それが「月光」の1楽章だったのです。
「あら、しらないの?」先生は意外と言った表情でした。
以来、月光はトラウマっぽくなり、余計に聞こうと思いませんでした。
 
中学生になった頃ピアノのお稽古に行って帰ろうとしたときに、先生が「次の高校生の生徒さんがベートヴェン弾いてるから聞いて帰ったら?」と引き止めました。
言われるままに残っていると、
「遅れてすみませ~ん」と入ってきたのは学校(私立の中高一貫性)の先輩でした。
「貴女はもう上手だから、先生は何も言わないから、全部弾いてみて」と先生はにこやかに言う。(先生は実は厳しくて怖かったのですが、すごく優しく見えました)
後で考えると、中断せずに最後まで私に聞かせるため、こう言ったのかなと。
快く返事をして先輩は弾き始めました。それが「月光」でした。
1楽章が終わって2楽章に入りました。
月光の2楽章ってこんなの?始めて聞きました。さらに3楽章、激しくて、1楽章からはとても想像できない曲でした。
その後お礼を言って帰りましたが、このとき「月光」好きかもしれないと思いました。すぐに弾けそうな1楽章だけ、楽譜を買って練習しました。
同じ頃に、父がバックハウスピアノソナタの音源(テープに録音したものが当時ありました)を手に入れてよく聞いていましたので、「月光」も耳にするようになりました。
 
大学生の頃、下宿生活でしたのでピアノは断念しました。
そのかわりオルガンを弾き始めました。リードオルガンとパイプオルガンです。
大学でコーラスを、クワイアをやっていて、その練習場のホールにピアノがありました。クワイアで副伴奏者をしていたこと、大学のチャペルオルガニストを勤めていたことなどから、空いてるときは使っていいよ、というお墨付きをもらって時々弾いていました。たしかベートヴェンの「悲愴」を練習してたと思います。
ほかにそこで練習する人がいました。どうやら許可はもらってなかったようですが、ピアノが好きで一生懸命弾いていました。あるときお話をしたら、ピアノは習ったことはないが独学で練習している、今は「月光」の3楽章を練習している、というのです。え?あんな難しい曲を?独学で?促して弾いてもらいました。
すごく手の大きい彼(背の高い男の子でした)は速いアルペッジョを難なく弾いていました。音楽的にはちょっと物足りませんでしたが。
あたしには出来ない、あんな大きな手じゃないし。。そう思いました。
その後、彼は夜中にホールに侵入して練習し追放になりました。
 
あれから、随分たって未だに「月光」は1楽章のみしか弾いたことがありません。
せっかく大枚はたいてピアノを調律しましたので、きちんと練習をしたいと思いますので、まずは2楽章から練習してみようと思います。その次3楽章ですね。ゆっくりはじめたいと思います。
バッハ、ベートヴェン辺りを弾かないとなんだかきっちり練習した気にならないのが不思議です。苦手だからでしょうか(笑)