ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

「怒りの日(ディエズイラ)」~ヴェルディ・レクィエム

ミラノスカラ座の「アイーダ」が見たいと思ったのは、半年ほど前でした。
でも、見事にお安い値段のチケットは取れなくて、、

次に挑戦したのは、バレンボイム指揮、ミラノスカラ座の合唱団のヴェルディの「レクィエム」、これも人気があって、安いチケットは出遅れて(PCのせいと思う)手に入りませんでした。
で、まあ、、しょうがないので、ちょっとだけ奮発して、今年一番お金をかけたコンサートになりました。NHKホール、2階正面少し後ろですが、まあ、見えやすいかなと思って、チケット買いました。

本場のヴェルレク、わくわくしながら聞きにいきました。
9月10日木曜日有給をとっての演奏会鑑賞です。席はどこも、満席です。
本場ミラノの演奏によるレクィエム、きっとすばらしく情熱的で感動的なのではと、勝手に想像しながら席に付きました。


この曲は2曲めの「怒りの日(ディエズ・イラ)」があまりに有名です、このレクィエムのイメージは、まずこの曲でしょうね。
死者も生き返るのではないかと思うような激しくドラマティックな曲は、鎮魂曲となり得るのか?という疑問もありますが、元々、レクィエムは、「死者のためのミサ曲」であり、鎮魂の意味はないのだそうです。

レクィエムは、通常、「イントロイトゥス(入祭唱)」「キリエ(主よ哀れみたまえ)」から始まり続唱(セクェンツァ、「ディエズイラ(怒りの日)」など)「オフェルトリウム(奉献唱)」「サンクトゥス(聖なるかな)」「ベネディクトゥス(祝福したまえ)」「アニュスデイ(神の子羊)」「ルクスエテルナ(永遠の光)」「リベラメ(解き放ちたまえ)」などで構成されます。
通常のミサ文にはない、「続唱」、および「リベラメ」が加わった形が「レクィエム」ですが、作曲者によって形式はいろいろです。詳しくはこちらhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A0
入祭唱というのは、そのミサの目的を語る部分だそうですが、ここで、レクィエム(安息)・エテルナ(永遠の)・ドナ(与えたまえ)・エイス(彼らに)と、最初に歌われるので、死者のためのミサ曲を「レクィエム」と呼ぶのだそうです。

ヴェルディのレクィエムが「怒りの日」の印象があり、怒りのイメージが強いのは、続唱の最初「ディエズイラ」で、まず、この怒りをぶつけたようなパーカスの音と叫ぶような金管の音色によるおなじみのメロディが演奏され、その後、このメロディの途中から再現され、さらに、続唱の終わりころにもう一度このメロディが最初から再現され、さらにさらに、最後の「リベラメ」で再現されて、嫌でも忘れられないほどに印象付けられるからでしょうね。
それにしても、毎回同じようでちょっとづつ違うので、数年前に歌ったときは間違えないようにちゃんと覚えなくてはなりませんでした。


この日は、プレトークがありました。
音楽評論家の方(すみません、名前忘れました)が、ミラノスカラ座とこの曲に付いて解説をしてくれました。
興味深かったのは、楽器の配置ですね。コントラバスが、左奥に、ティンパ二などパーカスが右端にあるのがちょっと不思議な気がしていましたが、これは、スカラ座でのオペラ演奏時のピットの中での位置なのだそうです。
慣れてるこの位置が演奏しやすいということらしいです。

さて、この日の演奏、最初のイントロイトゥスでは、聞こえないほどの小さな音で歌いだされ、続いて静まり返った会場にキリエ・エレイソンの歌声が流れていきます。
pppで静かに終わった後、ffで、ディエズイラが始まります。
金管がうなり、ティンパにと大太鼓が地の底から鳴り響く、弦は16分音符で駆け下り駆け上がっていく、コーラスも半音階の男声のユニゾンの後、伸ばしてる音と動きのある音と2種類が7重唱で歌われます。
何にも増して強いはずの怒りのパワーが炸裂するところですから、もっと迫力があるかな~と思ってたのですが、金管と太鼓はすごかったのですが、コーラスのほうがちょっと地味だったような気が、、
座ってた位置のせいかもしれませんが、もっと声が飛んできて欲しかったですね。

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ここの部分よりも、少し後のトランペットが掛け合うところ、これは、舞台袖の別働隊との掛け合いでしょうか?かなりの迫力でした。
アイーダアイーダトランペットを思い出しました。雰囲気や趣向は違いますが、ヴェルディはトランペットの掛け合いが好きだったのかもしれませんね。CDで聞いてるとそれほどわからないのですが、実際に聞くと音があっちとこっちから聞こえてくるのがはっきりわかっていいですね。

サンクトゥス、アニュスデイ、、と続く曲も、どれもそつなく美しく歌い上げられていました。
この日のソリスト、アルト(メゾソプラノ)は、代役の方だったのですが、今回アイーダでアムネリス役をやってるということで、とても安定した豊かな声で上手かったです。代役でもまったく問題はなかったです。

客席のほうも、周りはお行儀の良い方ばかりでしたし、拍手(終わっても余韻が残ってる間にやっちゃったひともいましたが)もそれほど先走りはなくて、休憩なしの1時間ちょっとの演奏会、楽しんで帰りました。