ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

LFJ~ヴァイオリン編

続いて、ヴァイオリンです。
ヴァイオリン演奏は、例えば無伴奏ヴァイオリンパルティータやソナタなどの公演もありましたが、数が少なくチケットは取れませんでした。
今回聞いたヴァイオリン演奏は、コンチェルトでした。
バッハのヴァイオリン協奏曲、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲、ですね。
オーボエとヴァイオリンの協奏曲については、コンチェルトのところでお話しようと思います。
ここでは、2人のヴァイオリニストについて書きます。
ネマニャ・ラドゥロビチは、演奏を聞きました。
それから、グナール・レツボールは、マスタークラスのお話を聞きました。

★ネマニャ・ラドゥロビチ

今回、素晴らしいと思ったのは、ネマニャ・ラドゥロビチの演奏でした。
なんとか、取れたチケットがバッハのヴァイオリン・コンチェルトのイ短調ホ長調、これはぜひ、聞きたいと思いました。夜の10時半からという超遅いタイムスケジュールでしたので取れたんでしょうね。帰りはもちろん最終電車です。^^

ホールはB7、フラットなフロアに椅子が並べられ、ステージは高めではあるけれど、前の方でないとステージで何してるか見えない、というあまり好きではないホール。
しかも、これまで、一番後ろとか、限りになくそれに近い、ろくな席に当たってないので、なおさら好きじゃないです。が、今回は、後ろから4列目でした。

バッハのヴァイオリン協奏曲イ短調ホ長調どちらも父がよく聞いてたものです。
メロディも親しみやすいですよね。思い切り楽しんで聞きたいと思いました。
ただ、このプログラムにはヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ」なる物も入っていて、これがちょっと本物のバッハの雰囲気を壊しはしないか、と気がかりでした。
プログラムの最後に「ブラジル風」が演奏されると、その日一日バッハ漬けになったのが最後にブラジル風になって、その日の印象がすべてブラジル風になるのではと気になったのでした。

長身で細身のネマニャがにこやかに登場、颯爽と演奏を始めました。
イ短調が最初と思いましたが、順序が変わったようです、始まったのはホ長調でした。
とても勢いがあり元気です。若いのねぇ、、、おばさんはそう思いました。^^
黒髪を後ろに束ねて、顔は浅黒くセルビア人なのだそうですが、ふとヴァイオリンの弾き方とかからジプシーなのではないかと思いました。(ジプシーのヴァイオリン弾きにヴァイオリンを習ったと知り合いのスロヴァキア人に聞いてただけなのですが)
指揮者は居るのですが、コンチェルトという事でソリストに任せた部分もあり、控えめに指揮してるように見えました。
ネマニャは、ぐいぐい自分のペースでヴァイオリンを弾いてオケを引っ張っていきます。
彼の表現力、彼の曲に対する独自の積極的なアプローチはすごいですね。
もちろんテクニックもあって、要所要所で聞かせてくれます。
彼自身は、とても楽しそうにヴァイオリンを弾いています。長身の体を左に右に傾けながら。。。見てるだけで楽しいです。
そのうち、指揮者も体を横に振っています。
ゆっくりした2楽章では、物憂い音色、いろんな色の音色を聞かせてくれます。
3楽章でまた自由闊達に戻り、盛り上がって終りました。
拍手喝さい、長い髪を振り乱して、深くお辞儀するネマニャ、かわいいです。

次は、ヴァイオリニストの休憩時間なのでしょうか、ここに、例の「ブラジル風バッハ」がはいりました。わりと聞きやすい曲でした。映画音楽風ですね。バッハには聞こえません。。。

そしてイ短調の協奏曲、少し速めにシャープに始まります。ソロヴァイオリンは相変わらず自由でマイペース、悪く言えば好き勝手に弾いているようです。でも、オケもちゃんとソロに合わせて付いて行っています。彼が天才肌のヴァイオリニストであることを認めているのですね。あそこまで自分の個性を出していけてるのがすごいです。
最後の楽章は彼のテクニックの見せ場でもあり、速い♪もこともなげに通過、クレッシェンドも素晴らしく、髪を振り乱しての熱演です。
本当に素晴らしかったです。

「あんなに勝手に弾いていいの?」「すごいマイペースよね、、、」
など、帰り際に耳にしましたが、あれだけの技量があるなら遠慮して弾く方が変でしょうね、、


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ラフォルジュルネのシンボルマーク。
これ、去年も写真に撮りました。
きれいですものね。。


★グナール・レツボール

4日の朝早く、と言っても10時ですが、バッハの映画を観たくて行きました。
ところが、まだ映画は始まってないはずなのに、扉が閉まっています。
「満席」なのだそうです。
え、でも、整理券は配らないっていうことでしょ、、
--整理券は配布していませんが、もう満席になりましたので、
立ち見は?
--ありません。

がっかりして、何か別のものを探しました。
まだ間に合う、というマスタークラスの列に並びました。
この公演に参加してるヴァイオリニストが、ヴァイオリンを学んでいる人に教えるのですね。受講者はどうやって選ぶのか知りませんが、ある程度、かなり弾ける人なのだろうなと思いました。

講師は、グナール・レツボール、前日に公演をしています。バロックバイオリンの奏者だそうです。1時間におよぶレッスンは、主に演奏する時の心得のようなものでした。
まず、日本語で挨拶があり、英語で話し始めました。英語の通訳が付いていました。
が、彼は、多分ドイツ系?英語はそれほど得意でもないらしいです。前もって通訳との間に打ち合わせがあったのか、彼が言ってない言葉など、通訳が補充しているように思いました。
まず、受講者の演奏、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ3番です。
たくさんの人の前で弾くのはきっと緊張したでしょうね、、、
一通り演奏が合った後、レツボール氏の講義が始まりましたが、とても長いので、要約すると、

バロックの時代には楽譜には音しか書いてなく、どのように演奏するかは演奏家によって違った。つまり、どういう風に演奏するかは作曲家でなく、ここの演奏家が決めていた。
なので、バロック時代の演奏を再現しようと思ったら、ここはこういう風に弾くとか決まってるとおりに演奏するのでなく、それぞれが自分のスタイルで演奏する方が、バロック時代のやり方に近い。
それには、誰かに言われてそう演奏すると言うのではなく、自分がどう弾きたいか、それを自分で決める事が大切。
例えば、アダージョ、速さそのものより、アダージョというテンポを自分が感じてそれを表現する事が大事。
メロディを聞いて何を感じるかも、誰かがそう感じたと言うのでなく、自分が感じたことを大切にする、
バロックの時代には、楽器も様々、音のPitchさえも様々、様々なものがあってそれで当たり前だった。それが、個性であったりした。これが自分の音、音楽だったりした、
Sound is a passportだったのだそうです。
Playing music is communication ということだそうで、
今を生きることは、今言いたいことを伝えていく事、音楽は、それを伝えていく手段だという事なのですね。