ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

愉快な「愛の妙薬」~♪

こんな天気の悪い日に、出かけていろいろ用事を済ませて、帰りは荷物いっぱい持って半分濡れながら帰ってきました。
でも、気分はとっても楽しいですね。
今日のオペラ、錦織健プロデュースのドニゼッティの「愛の妙薬」は、そんな楽しいオペラでした。
プログラムにもありましたが、「日本人のトップレベルの歌手による全国ツァ、ターゲットはビギナー、基本的には喜劇で笑ってもらう、」というコンセプトで、オペラの裾野を広げていこうというのでしょうね。よい企画ですね。こういうのが増えれば、気軽にお手ごろなお値段でオペラが楽しめますね。
プログラムにはオペラの内容が懇切丁寧に解説され、オペラ用語の解説まであります。

このオペラ、チラシやプログラムからして楽しい。
この絵、実は、あのファイナルファンタジー天野喜孝さんなのですね。
この企画のはじめから天野さんが美術を担当してるとか?へ~~~と思いましたが。
錦織さんが大のゲームファンという事で、なるほど。

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今日の出演者です。

指揮:現田茂夫
管弦楽:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団

アディーナ:森 麻季
モリーノ:錦織 健
ドゥルカマーラ:三浦克次
ベルコーレ:成田博之
ジャンネッタ:田上知穂

ほか



このうち、男性の出演者4人は、第九でご一緒したことがあります。現田先生は、何度かいらしてくださっています。錦織さんもまだまだお名前がそれほど知られないころに、20年近く前ですが、いらっしゃいました。今はもう、絶対に来てはいただけないですね。。
皆さん素晴らしい声でした。丁々発止の早口のやり取り、上手かったです。
森麻季さんの声も、うっとりと聞きほれました。

田舎での恋の空騒ぎ、みたいなストーリーです。
ちょっとお間抜けだけど純朴なネモリーノは、賢い富農の娘アディーナを慕うあまり、インチキ詐欺師のドゥルカマーラから「愛の妙薬」と称する安ワインを買ってしまう、、、
そこから巻き起こる、笑いと涙と感動のオペラ、っていうととても月並みですが、本当におかしくって笑っちゃう場面がたくさんありましたし、それでいて、しんみりと素晴らしい歌で聞かせるところもあり、涙も誘えば、とっても感動します。感動するのは歌が素晴らしいからですが、オペラがそういうつくりになっているのが、よく出来てるなと思います。


以下ネタ大バレ注意!

お間抜けなネモリーノのお惚け振りを錦織健さんが好演していらっしゃるのが、とても好感持てました。ドゥルカマーラ役の三浦克次さんも芸達者振りを発揮していて、楽しかったです。

ドゥルカマーラが、インチキ薬を売るところ、
口八丁に、早口で効能を並べて行きます。見所の1つですね。
字幕だけかもしれませんが、今風に、アンチエイジング、とかツルツル肌とかセレブと言う言葉も飛び交っていました。今日のとYouTubeとは違いますが、これも楽しいです。


その後、ネモリーノがやってきて、アディーナの読んでる「トリスタンとイゾルデ」(この時代は、ワグナーはまだ世に出てないので、原作の本ですね)、に出てくる「愛の妙薬(惚れ薬)」が欲しいといい、「ああ、それは俺が作ったんだ」とドゥルカマーラは安ワインを高値で売りつける、
モリーノは「ありがとう、感謝します」と喜び、ドゥルカマーラは「こんなバカ見たことない」と、二重唱、これが面白いです。



その後の、ベルコーレ、アディーナ、ネモリーノの三重唱も楽しいです。
3人が各々の気持をそれぞれ歌うところです。
気持が、食い違ってるのが微妙に面白いです。
また、ドゥルカマーラとアディーナの軽妙な二重唱も素敵です。同じメロディがフィナーレにも出てきます。

2幕では、アディーナの涙を見て、感動したネモリーノのアリア、おそらくこのオペラでいちばん有名なアリア「人知れぬ涙」は素晴らしかったです。開場は静まり返り、歌が終ると、オケの後奏が終わるのも待って、鳴り止まぬ拍手とブラヴォ!お客さんもお行儀よかったです。
YouTubeのRolando Villazon も、なかなか素敵ではありますが、錦織健さんの今日の演奏の方がずっとよかった気がします。熱唱でした。




モリーノの「人知れぬ涙」に対し、アディーナの「受け取って」のアリア、これも、また素晴らしかったです。こちらも拍手喝采!!美しい声です!森麻季さんのファンになりそうです。




そして最後、めでたく結ばれた、ネモリーノとアディーナ。恋敵ベルコーレは潔く諦め、調子のよいペテン師のドゥルカマーラは、インチキ薬でまた商売して、上機嫌で村から去っていきます。