ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

佐藤立樹さんのレクチャーコンサート

今度は、久しぶりにコンサートの話題です。

先日、佐藤立樹さんのピアノのレクチャーコンサートに行ってきました。

佐藤立樹さんについては、こちら http://www.nipponartists.jp/artist/ad_04_07.html

4年ほど前に、ラフォルジュルネで出会いました。

シューベルトの演奏が素晴らしくて、記事に書きました。


その後、演奏会も聞かせていただきました。




その後、忙しかったりで演奏会そのものもあまり行けなかったりで、佐藤さんの演奏会もご無沙汰しました。

が、今回、入院前に演奏会のお知らせを頂き、大変迷いました。

入院中で行けないかなと思いましたが、思ったより早く出られたおかげで、行くことができました。

佐藤さんのレクチャーコンサートはとても楽しいです。

今回は、汐留のメディアタワーに隣接する汐留メディアタワー・アネックスにて行われました。

実は 汐留に行くのも、新橋に行くのも、いや東京に出かけること自体がとってもお久し振りで

汐留でちょっと迷ってしまいました。

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お、ガラス張りの建物、先日のスピーチ会場のようですw

こじんまりした新しくてきれいなホールで、7-80席程度のサロンコンサートでした。

大ホールのコンサートと違って、すぐ間近に演奏者を見られるので演奏者の気持ちが直に伝わります。

ピアノはスタインウェイ、音がいいですね、ホールの音響もとてもよかったです。

前回お見かけしたままのお変わりない佐藤さんが現れ、まずショパンの遺作のノクターンを弾かれました。

繊細なトリルが美しいです。

がさつなMIDIで申し訳ありませんが、こんな曲ですという紹介までに、自作MIDIで恐縮ですが


この日のテーマは「リストvsショパン、そしてドビュッシー」でした。

リストとショパン、この二人は一つ違いですけれど、そしてショパンが一つ上ですけど、

リストとショパンの音楽は大変違うのですね。以下、佐藤さんのレクチャー内容です。

ピアノの魔術師のリストとピアノの詩人のショパンと。。。

詩人は、魔術師の演奏を絶賛し練習曲集Op10をリストに献呈するも、その作品については酷評していました。

けれども魔術師リストは詩人ショパンの曲を大変評価し、ショパンの死後には伝記を書いています。

とかくリストはテクニックだけで、中身があまりないかのように言われがちです、

20歳の時にヴァイオリニストのパガニーニの演奏を聴いてその超絶技巧に衝撃を受け、

ピアノのパガニーニたらんことを切望したと言われます。

そこから、超絶技巧練習曲がうまれたのですね。パガニーニの曲もピアノに編曲しています。

ピアノ演奏技術の拡大から、ピアノの表現の可能性を飛躍的に拡大することとなり、

ピアノ演奏だけの「ピアノリサイタル」を創始、史上初の「ピアニスト」となりました。

また、リサイタルで暗譜で弾くという悪習を始めたのもリストなのだそうで、、

おかげで、演奏会前のピアニストたちが今日も苦しんでいるとか???w

そういえば、スピーチも暗誦でしたね、あれもプレッシャなんですよね、忘れたらどうしよって、、

その他、リストは長寿でしたので前の時代を引き継いで次の時代へと繋いでいった功績もあるでしょう。

標題音楽を発展させ、交響詩を創始し、オーケストラの曲も残しています。

殆どピアノだけのショパンとはかなり違う生き方ですね。

そのためか最初出会ったころは交友がありコンサートで競演もしていますが、のちに疎遠となっています

リストの曲は他の作曲家の作品のフレーズを用いたものや編曲物も多く、自身の創作は少ないことを

ショパンは批判していたようで、表現方法としてもショパン標題音楽とは無縁でした。

同じピアニストでありながら、まったく違う感性を持っていたのですね。

ドビュッシーはリストと出会い、交響詩を書くなどおそらくはリストから影響を受けたのでしょうね。

また、ショパンを敬愛し、前奏曲や練習曲などのピアノ曲があります。

標題のある曲も多いですね、ワトーの「シテール島への巡礼」から影響を受けて作曲されたという

「喜びの島」(シテール島は愛の女神ヴィーナスの島と言われる)というピアノ曲もありますね。

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レクチャーをはさみながら、以下のプログラムでピアノが演奏されました。



ショパン     ノクターン第20番 嬰ハ短調 遺作
         幻想即興曲  嬰ハ短調 Op66
         練習曲集 Op10より
           第3番 ホ長調 「別れの曲」
           第5番 変ト長調 「黒鍵」
           第9番 ヘ短調
           第10番 変イ長調
           第12番 ハ短調 「革命」

ドビュッシー   前奏曲集第1巻より  第8番「亜麻色の髪の乙女
         喜びの島

リスト      愛の夢 第3番 変イ長調
         超絶技巧練習曲集より 第10番 ヘ短調

シューベルト=リスト   「セレナーデ」
                「ます」

リスト      メフィストワルツ 第1番 「村の居酒屋の踊り」     


どれも素敵な演奏でした。

幼いころに聞いたルービンシュタインのレコード(www)「愛の夢」と「幻想即興曲」を思い出しました。

日本人好みというのでしょうか、とても馴染みますね。別れの曲や革命などもそうです。

佐藤さんの演奏は、音が柔らかくてきれいでした。ことに、メロディラインが引き立ってきれいです。

メロディ以外の小さい音も、とても丁寧に響きます。 

聞いてるうちに、またも、スピーチのことを思い出しました。メリハリのあるスピーチを、

言いたいことをきちんと引き立てて言うように、でも発音は細かいところまで正確に

と生徒たちに注意しましたが、ピアノ演奏にも同じようなことがいえるのでしょうか、

最後の「メフィストワルツ」、これ、のだめで人気が出た気がしますが、どうでしょ。

それどんな曲?という方に、自作MIDIをお届けします。最初の部分のみです。

実際の演奏は、全然違いますけれどね。


アンコールは2曲、ひとつめ、ごめんなさい、思い出せない。。。

2つ目はショパン前奏曲集から「雨だれ」でしたね。

病気から回復して最初の演奏会で、とても楽しかったです。

お隣に座ってらした方とお話もできました。

実は、プログラムにも書いてあったことですが、佐藤さんは数年前に大変な病気をされました。

その後、短期間で完全に回復されて復活され、活動を続けられていらっしゃいます。

今回病気して入院しました私ですが、佐藤さんのご復活ぶりに大変励まされ元気づけられました。

演奏会では素晴らしい演奏を聞かせていただいたことと、前に進んでいく勇気を頂いたことに感謝しています。