ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

オペラ「アイーダ」

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久々のオペラです。そして久々のオーチャード。

そして今回は、着物がお似合いで、英語がお達者、歌舞伎観劇が趣味でヴァイオリンも弾く、和と洋において多彩振りを発揮されているブログ友達兼リアルお友達のKimonoさんとご一緒しましたので、彼女のブログにもきっと記事がアップされることでしょう。
ほかの方の感想など聞くと違った視点からの見方もわかり、大変参考になります。


今日の演目はヴェルディ作曲の「アイーダ」。物語はご存知の方も多いでしょう。
エチオピアの王女アイーダはエジプトで女奴隷の身、、エジプトの将軍ラダメスと恋に落ちる。
が、エジプトとエチオピアは戦闘状態となり、母国への愛国心と恋人への愛情の狭間で苦しむ。エチオピア捕虜の解放と引き換えにアイーダ親子は人質になり、ラダメスはエジプト王女アムネリスと結婚してエジプト王位を継ぐことになる。アイーダを諦めきれないラダメスはアイーダを助けようとし、結果的にエジプトを裏切ることになって、石棺に生き埋めという刑を受ける。こっそりラダメスの元に忍び込んだアイーダとともに果てる。

思えば1年半ほど前でしょうか?ミラノスカラ座の「アイーダ」を一目見ようと、一番安い席を狙いました。その席は発売すぐになくなることは予想してましたので、PCの前で頑張ったのですが、なにせ、PCが遅くて、発売時間すぐにアクセスしてもすでに大混雑中、、、5分後やっとアクセスできたときには、すでに完売でした。
そのリベンジとして選んだのが今回の「アイーダ」。しかもKimonoさんと一緒ですから、もう、わくわくしながら出かけたのでした。

さて、開場時間となりました。
例によって席は3階の奥ですけど、舞台はよく見渡せます。久しぶりにオペラグラスを構えました。
音もよく響いてきます。
序曲が始まりました。一瞬懐かしく感じました。1年半前の「アイーダ・ガラコンサート」を思い出しました。一生懸命練習して、練習用MIDIも作ってCDにして大量に生産、メンバーの練習に役立てることが出来、嬉しかったです。そのときコーラス仲間のTさんやKさんと協力して打ち合わせたことなどが、さ~っと脳裏を駆け巡りました。プロのミュージシャンのTさんが、あわてんぼうの私のミスをいっぱい見つけてくれたこと、忙しいKさんに代わって安価なCDRを買いに走ったこと、など。
MIDをWAVに転換できるということも知りましたし、何よりMIDI制作者としての私の血が騒いだのでした。
このことがなければ、これほど「アイーダ」を見たい、という思いはなかったと思います。




幕が開きました。
引越し公演ですから、お道具はあまり華やかではありませんが、神官や王など高位なる人物の衣装はそれなりに豪華でした。アイーダ、ラダメス、神官、王、アムネリス、アモナズロなどのソリストは、なかなかよい出来でした。なかでも、アイーダ、アムネリス、の女声は声量もあり声もつややかで表現力があってよかったです。というか、二人はソプラノとアルト(メゾソプラノ)のはずなのですが、よく似たメゾの音色なのですね。どちらもドラマチックソプラノの感じです。あとで、プログラムの解説を見たら、どちらもほかの公演でカルメンを演じているのですね。そっか~、と妙に納得しました。
バランスのよさもちょっと感激でした。ソロのアリアなどのところでは、オケはよく抑えていましたし、合唱といっしょに盛り上がるところでは、会場いっぱいに響く音量でぐぃぐぃひっぱっていってました。

合唱もよかったですね。はじめ、ちょっと地味かなと思ったのですが、ゲッラ、ゲッラ、、と盛り上がりました。
1幕1場前半の合唱は、こちら、以前に書いた記事です。
後に続く出陣の勇ましい歌では、もう体が動いていました。
リトールナ、ヴィーンチトール(勝ちて帰れ)、心の中で一緒に歌っていました。アイーダも、つい、自国へ攻め入るラダメスに、リトールナ、ヴィーンチトールと言ってしまうくらいですから。。
本当に、本物の舞台を見に来てよかったと思いました。1幕1場後半の合唱はこちら




さて、2幕ではアムネリスの部屋でのアイーダとアムネリスの恋のさや当て(女性にはこの表現は用いない?)、、ここでは踊りと女声合唱が入ります。踊りのほうは若い男女3人がドキッとするような肌をあらわにしたセクシーな衣装でした。しなやかな体が印象的な踊りでした。

アイーダ」といえば、2幕2場の凱旋の場面でしょう。
これは、豪華な劇場ですと、それこそめちゃくちゃお金かけて豪華絢爛ですね。
今回は、地味でした、、、戦利品も捕虜も凱旋軍隊も見当たりませんでした。。
メトロポリタンの舞台などは、ただ通り過ぎるだけの人だけで100人くらいいるんじゃないの?と思うくらいで、歩いて通るだけなら私も出たいと思ったり、、
ここはまた、踊りもすばらしい場面ですね。「アイーダ」はオーケストラとソロの歌、合唱、そして踊りも堪能できるお得なオペラです。

ところで、この部分で大変華やかなのが、トランペットの演奏です。サッカーなどの試合でも聞かれる有名なメロディの部分ですが、アイーダトランペットと呼ばれる特殊な細長いトランペットで演奏されることがあります。これが今回使われるのか、とても興味のあるところでしたが、華やかにトランペットは鳴り響いていたものの、どこで演奏されていたのか、アイーダトランペットだったのか、天井に近い席からは確認することが出来ませんでした。1階や2階だと見えたのでしょうか、、

アイーダトランペットを見損ねたKimonoさんに、この部分のYouTubeを探してみました。
アイーダトランペットも登場する、野外の演奏をみつけました。踊りもついています。シノーポリだそうです。風貌がレヴァインみたい。


もう一個、こちらはオペラの場面からです。ヴェローナの野外らしいです。
ちゃんと衣装を付けた人がアイーダトランペットを吹いていますね。


こちらはどこかわかりませんが、舞台上でアイーダトランペットを吹いています。


こういうの見ると、今回のが如何に地味だったかとか思いますけど、ほんとうは今回程度がスタンダードなのかもしれません。わかりませんが、、、
このシーンにいっぱいお金がかけられるほどお金持ちの劇場はそれほどないでしょうよねぇ、、
でも一度で良いので、豪華絢爛「アイーダ」が見たいですね。

さぁ、これのあと、命乞いの懇願をする場面ですが、
舞台上にラダメスが一人で帰ってきて、捕虜がアモナズロ一人という(そして、舞台右のほうに置いてあった箱につめたきらきら光るものはもしかして、戦利品の金銀?)状態、しかもコーラスの衣装は神官のみ、え~~~どうやってこの場面を演じるの?と思ってしまいました。
民衆側(Popolo)と神官側(Sacerdoti)が、助けて欲しい、いやダメだ、と対立して歌うところだったと思いますが、神官の中で二手に分かれていたのでしょうか。。。。
この場面の合唱は3重くらいになっていて、ソリストもそれぞれの立場での心情を歌い上げます。複雑ですがよく出来ていてとても感動的です。舞台も期待通りに盛り上がってくれました。こんな感じ。(注:Midiだけ聞いてくださいね、記事は愚痴なので。)




3幕は恋する二人の心や運命が大きく動くところ、
父のために、ラダメスに一緒に逃げようといいながらも彼から軍事機密を聞き出すアイーダ
この場面、月夜のシーンなのだけど、故郷を歌うシーンだからか、青い草原のイメージが背景になっている。月の黄色い光だろうか、ゆらゆらと草の上にゆらめく、、どうやってるのだろうと気になって仕方がない。しきりにオペラグラスで見たけど、よくわかりませんでした。
逢引と裏切りがアムネリスにばれて、アイーダとアモナズロを逃がしてラダメスはつかまる。



4幕、ここまで、いつになくちょっとアムネリスに同情していたのですけど、ここにきて更にアムネリスに同情的になりました。片思いの恋は悲しや、アムネリスが何をもってしても、切々と訴えかけてもラダメスは全く振り向いてくれない。
恋の恨みでラダメスを殺してしまう鬼のような恐ろしいアムネリス、というイメージがあるのですが、今回は歌手のすばらしさもあってか、何気にアムネリスに同情気味。アムネリスのせいだけではなくて、アイーダのほうにも、ちょっと魅力が足りない。。歌はうまいのだけれど、アムネリスのほうがもっと訴えるものがあったかと。
アムネリスは心が張り裂けそうになりながらも、冷たい氷のように冷ややかに愛するラダメスの死を地上から見守る。
アイーダは舞い戻り、ラダメスと一緒に愛のデュエットを歌い死んでいく。
アムネリスにとっては、栄光の座に居ながらも、ラダメスと愛し合いながら一緒に死んでいくアイーダが妬ましかったでしょうね。(そこにアイーダがいたのは知らなかったのでしょうけれど)
ここでも合唱が抑えた音量で二人を見守るように支えていて、このオペラにおける合唱の役割の大きさを感じます。

2幕の華やかさから比べると、大変地味な終わり方ですが、そのコントラストがまたよいのでしょうね。
ラダメスの栄華と恥辱の死、、、そんな副題が浮かんできそうです。

最後の2重唱は大変きれいです。2重唱といっても、伴奏のように合唱が入り、アムネリスの声が呟くように入ります。



おまけ、
1幕の最初、ラダメスのアリア、「清きアイーダ」を個人的な好みでフランココレッリ
http://www.youtube.com/watch?v=j8gkIPg7pw0&feature=related

今回のオペラ、大変面白かったです。
もちろん、もっと、こうだったらよかったとか、ありますけど、生で最初から終わりまで見られたのは感激でしたし、嬉しかったです。ミラノスカラ座とは比べられないでしょうけれど、自分たちのガラコンサートの思い出も混ぜて、アイーダをもっと身近に感じ、そのメロディの美しさ、曲の構成のすばらしさ、などなど楽しんでまいりました。やっぱり、オペラは楽しい。