ぺんぎんの音楽日記

クラシック音楽について、絵画や鳥たち、日々の生活について自由に書いていこうと思います。

サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団 ≪チャイコフスキー・フェスティヴァル≫

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半年以上前から、わくわくしながらチケットを買って、昨日行って来ました。
お久しぶりのサントリーホールです。
道に迷いはしないか、電車乗り間違えないかとっても不安で(遅れたらアウトですもん)、電車の路線と地図をプリントアウトして出かけました。
*1わくわく…、、o(;-_-;)oドキドキ♪です。風邪も何とか持ちこたえました。
何着ていこうか、とっても迷いました。でも、結局いつものカジュアルスタイルで。。。夜冷えても大丈夫な暖かい格好で行きました。

少し早めに着いたので、噴水の前に座って待ちました。
この水音結構大きな音ですね。

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さあ、開場の合図の音楽が鳴りました。
かわいいミニオルガン、オルゴールの原理で鳴るようです。
面白いですね。

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席は、かねてから座ってみたかった2階P席、ここからなら指揮者の姿や顔がよく見えるはずです。
演奏はサンクトペテルブルクフィルハーモニー交響楽団、指揮はユーリ・テミルカーノフです。
曲目はチャイコフスキのピアノ協奏曲1番と交響曲の5番。
最初は4番とVコンの組み合わせで申し込んだのですが、取れませんでした。
5番より4番か6番が、PコンよりVコンが聞きたいなと思っていたのでしたが、

ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op23


指揮台に立ったテミルカーノフさん、おもむろにメガネを出してかけたら、さ~っと始まりました。
指揮と言うより、はじまりの合図を送ったと言う感じです。ホルンがくもりのない音で高らかに鳴り響く。このはじまりは、こうでなくちゃね。
ピアノがリズムを取り始めると、テミルカーノフさんの左腕は右に左にゆったりと優雅に動いていました。大海を自由に泳いでと言うことなのでしょうか?スケールの大きな曲ですし、細かい振りはしないのでしょうか?
ピアノがソロに入ると指揮はお休み、コンチェルトですしね、ピアニストに任せてるのでしょう。
と、ポケットからハンカチを取り出して、、鼻をかむ、メガネをはずす、かけて、指揮に戻る。
風邪?ですか?風邪ひきの本番は辛いでしょうね。見たり聞いたりするほうは、周囲に迷惑さえかけなければ、風邪引いてたってどってことないんですけどね。
Tuttiに入ったら本格的に身を入れて指揮されるのかな?と思いきや、片手が両手になってさぁ~っと空気を撫でるように振ります。よく見てると要所要所は抑えてる?木管のアンサンブルとかは丁寧に振ってる?あとは手を返したり広げて閉じたり、手首を器用に動かしたり。
三楽章はさすがに速いのでリズム刻んで、ここぞという所は決めて最後はカッコよく終わりました。

ピアノは、デニス・マツーエフと言う大柄なピアニストでした。テクニカルなのがお得意らしいです。
アンコールにこたえて、ピアノに再度ついて、演奏を始めました。ポ~ンとGあたりの音(絶対音感ないので、しかも体調悪いので、辺りとしかわかりません)が鳴ったので、ん?これは幻想即興曲?(Gisで始まる)、にしては音が弱い、あら~随分間が空いたけど、大丈夫?
勝手に曲目を決めて心配してるぺんぎん、、(笑) やがて低音で短調の和音が刻まれ、あ~これをピアノで弾くのね、、グリーグ組曲ペールギュント」の山の魔王の宮殿にて、ですね。面白そうだなと思ったのですが、メチャクチャ速く弾いてみせて、最後の和音なんかぐちゃぐちゃに聞こえちゃって(元々ぐちゃぐちゃなのかもしれないけど、その区別がつかないくらい速い)、ちょっとがっかり。。。
コンチェルトの方はそつなく終ったので、よかったですけど。


休憩の後です。いよいよ5番ですね。
コンチェルトの間に、4回も鼻をかんだテミルカノフさん、体調は大丈夫なのでしょうか。
シンフォニーは出ずっぱりですから、鼻をかむ暇もありません、一応ハンカチが譜面台の上においてありますが。。。

金管楽器コントラバスが増えました、他の弦楽器も増えたのかな?編成が大きくなった感じです。
第1楽章のはじまり、Pで静かにクラリネットのソロです。豊かで柔らかい響きです。続くほかの木管楽器の響きもきれいですね。弦の響きが厚いです。金管がよく鳴っています、何しろホルンの上にいるので、
ホルンがちょっとうるさいくらいですね、これは席の問題でバランスが悪いわけではないのでしょう。

テミルカーノフさんはさっきのピアノコンチェルトの時より、ずっと音楽そのものに関わっていました。相変わらず、テンポの一定してるところでは腕をさ~っと横に流しています、ツボだけ押さえて。テンポの変わり目では縦に手を振ってオーケストラをコントロール、テンポが一定になったらさっとテンポの振りをやめてしまいます。指先をまるでピアノを弾いてるように細かく動かして特定の楽器に指示を送っているかのようです。ここぞと言う時には体で大きな振りをします。テンポをぐいぐい変えたり、ぐんぐん盛り上げるところなどは、両手を縦に大きく動かします。
あれ、この動き、誰かに似てる、と思いました。いや、テミルカーノフさんに誰かが似てるのです。それは、去年の第九演奏会で第九とフィンランディアの指揮をされたY先生です。
テンポを上げるとき、両腕をしきりに何かを持ち上げるかのように、下から上へ大きく動かしていました。
年齢もほぼ同じ、背格好も似てます。小柄で細く、顔の輪郭も似てるかも知れないですね。


2楽章、大変静かな弦の響きで始まります。この静けさがなんとも言えずきれいです。そこへ、ホルンのソロ。このホルン奏者、とっても体の大きい人ですが、柔らかくてきれいで繊細な音色を出しています。クラリネットと絡み、そのあとオーボエが続いて、これもきれい、柔らかい音色です。クラリネットの響きも柔らかいかと思うと艶やかになったりと場面に応じて変化します。管楽器のソロはどれも素晴らしいです。
ほわ~んと柔らかい管の音色に包まれて、なんだか体が浮いているような心地に襲われました、風邪薬のせいなのか、意識がホールの天井に吸い込まれていくような感じです。魂が吸い込まれていくみたいな気がして、夢中で足を踏ん張って無事でした。。。
弦に関しては、ピチカートも一通りではないのだと言うことがわかりました。いろんなピチカートがあるんですね。重いピチカート、軽いピチカート、弾けるようなピチカート、今までも聞いていたのでしょうが、生の演奏で身近に見て初めて気づいた次第です。この楽章だけでなく、その後もいろんなピチカートが出てきました。


3楽章、ワルツ。弦のメロディ、弦の音色が際立ちます。きれいに鳴っているのだけど、家にあるカラヤンのCDの演奏みたいにスマートではありません、もっと厚い、熱い感じです。重くはないのですけどね。
あ、クラリネットのソロの後ろでなってる金管の音色は、、ミュートのかかったホルン?確かにホルンが吹いています。ひゃ~ん、という軽い金属の音みたい、面白いです。細かい音がくるくると回って、ワルツが軽やかに踊られていきます。


4楽章、堂々としたテーマで始まりました。
生の演奏を聞いていて、やはり聞き応えがあるのはどんどん盛り上がって音量も大きくなって、金管とかがバリバリ響く時ですが、今回すごいなと思ったのは、大きめの音からピアノやピアニッシモになっていく見事なディクレッシェンドでした。歌う時だってクレッシェンドよりディクレッシェンドの方が大変です。支えがないと震えるし、息はなくなるし。。
もうひとつ、例えば4拍子の楽曲のとき、4拍目がちょっと長め?タメがある?そんな感じがロシアらしさなのだと、ある歌手の人が言っていましたが、本当なのでしょうか?
そういうつもりで聞いていると、そういう風にも聞こえます。本当のところはよくわかりませんが。それが土臭さ、民族音楽っぽさなのかもしれません。モーツァルトをこののりで演奏するとNGでしょうね。


さぁ4楽章の中盤です、テミルカーノフさん両手を大きく広げました、金管が高らかにテーマを吹き鳴らします。弦は上ったり下がったり大忙しで駆け巡ります。ここからはもう、全団員のりのりです、音楽がどんどん前へ前へと進んでいきます。弦もそれまではあまり体を崩さずに弾いていたのが、皆一緒に体をゆすっています。あ、ホルンがすごい音出してると思ったら、ホルン奏者5人みんなホルンを持ち上げています、大きな音がするはずです。ホルンの後ろだし。
一瞬間があって、管楽器のファミレドシドx4の前奏、もうぞくぞくしてきました、前奏のあとに弦の奏でるテーマ、そして金管があらん限りの音でバリバリに吹いて、あ、弦のテーマが聞こえない、前から聞いたらちゃんとしたバランスなんでしょうけど、P席がうらめしい。。
次は金管がテーマを吹いて、全員もうのりのりで演奏しています。熱いです、もう熱気がむんむん、、あ、またホルンがバリバリ鳴らして持ち上げた、最後は感動でした。また涙腺がゆるんでしまいました。 


拍手喝采です、今回、右隣は留守でした、左隣は若いお兄さん、何故か拍手をしません、まあそれはどうでもよいですけど、変な隣人には会わず幸いでした。
熱演の後でお疲れでしょう、アンコールはないのかな、と思った時に、静かにエルガーの「朝の挨拶」が流れました。とっても爽やかです。こてこてのチャイコの後は、心穏やかな曲がよいのでしょうか。
去年、第九のあとに静かに「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を歌いました。指揮者のY先生の意向であったとも聞きます。また、この先生とテミルカーノフさんがだぶってきました。
が、も一回アンコールがあって、のりのりの「トレパーク」でした。


ピアノ協奏曲のときは、それほど思わなかったのですが、本命と思しき5番を聞いて、とてもよい演奏会だったと思いました。もちろん、ピアノ協奏曲もレベルの高い演奏ではありましたが、5番の4楽章の途中で、「これは本当に素晴らしい演奏だ」と確信しました。
金管(特にホルン)が大きすぎる、フルートの音が飛んでこない、というのはありましたが、これは席の問題かな、全体にはよく音もバランスしていたのでしょうね。

素晴らしい演奏会でした。

*1:o(^-^)o